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富士山構成資産 忍野八海

ページID:0001124 更新日:2023年11月27日更新 印刷ページ表示

忍野八海が点在する忍野村全体が、かつては宇津湖(うつこ)と呼ばれる巨大な湖でした。
目の前には何度も噴火をくり返す富士山がありました。
延歴19年(西暦800年)における大噴火において、宇津湖は流れる溶岩によって2つに分断され、忍野湖と山中湖が誕生しました。
やがて、片方の忍野湖は富士山噴火活動期を経て、徐々に富士裾野と御坂山系との狭間を水触、掘削排水され、長い期間の後、ついに湖は涸れましたが、富士山の伏流水に水源を発する湧水池がいくつか残りました。
その代表的な湧水池が忍野八海です。
富士山に降り積もる雪解け水が、地下の不透水層という溶岩の間で、数十年の歳月をかけてろ過され、澄みきった水となりました。
美しく神秘的であり、移り変わる四季に彩られた富士を水面に映し込んだ姿は、訪れた人々に、水本来の姿と護るべき美しさをそっと訴えているようにも感じられます。
忍野八海は、「形状、水質、水量、保全状況、景観、仏教思想(富士信仰)など」の観点から、昭和9年(1934年)に国の天然記念物に指定され、昭和60年(1985年)に、環境庁から全国名水百選に選定されました。
また、平成6年(1994年)には、県新富嶽百景選定地にも指定されました。

富士山構成資産としての位置付け

富士山構成資産としての位置付けられた「忍野八海」の3つの要素とは?

  • 富士山域を背景として、複数の湧水および河川から成る風致の優れた水景が展開していること
  • 富士山を水源とする地下・地上の豊かな水系が広がっていること
  • その湧水・河川が、富士山信仰および農村の生活・生業と結び付き、周辺の土地利用と一体となって有機的な進化を遂げてきたこと

富士山域を背景とした風致の優れた水景

岡田紅陽(1895年~1972年)の写真などに見られるように、忍野八海のそれぞれの池や新名庄川越しに富士山を望む眺望は風致の優れた水景です。
池や川の周辺に稲作風景が広がり、富士山まで遮るものがなく視線が通り、周辺に点在する歴史を感じさせる茅葺屋根がシンボルとして存在します。

岡田紅陽美術館 収蔵作品

岡田紅陽写真美術館蔵

現在の写真

現在の銚子池

富士山を水源とする地下・地上の豊かな水系

豊かな水系としての価値を端的に示していることから、忍野八海は国の天然記念物に指定されています。
その指定基準は「地質鉱物(+)硫気孔および火山活動によるもの」に適用され、忍野八海が「かつての忍野湖を涵養されていることを暗示する」ため、「自然地質学上、貴重な天然資料」であるとされています。
近年の調査では、忍野八海の水源は、富士山からの伏流水および杓子山から石割山に係る火山山麓からの伏流水であることが明らかになっています。約1万年前以降に形成された新富士火山の透水層の地下水、および約10万年前に形成された古富士山の堆積物の不透水層部より下方の透水層のうち、水圧の高い地下水などが各々湧きだしたものが忍野八海です。

水系 忍野盆地の地質構造と地下水流 大月短期大学名誉教授 田中収

忍野地質資料

富士講と元八湖の再興(忍草元八湖霊場)

忍野元八湖は古くから富士御手洗元八湖として、富士修験の霊場でした。
富士講の信者は、富士登拝に先立ち、8つの湖沼群において水行を行ったとされ、それぞれ「富士外八湖」、「内八湖」、「富士山根元八湖」として記録に残っています。
八つの池(現在の忍野八海)は、「富士山根元八湖霊場」と名付けられ、略して、「元八湖霊場」と言われるようになったとされています。
天保14年(1843年)に富士講の一つである大我講の禊ぎの池として再興されたのを契機として、忍野八海が関東一円の富士講の中で広く知られるようになりました。
明治元年(1868年)に成立した明治政府の廃仏毀釈によって富士信仰は衰退し、忍野八海における水行も徐々に行われなくなり、第二次世界大戦後には禊ぎを行う行者姿はほとんど見られなくなりました。
昭和40年(1965年)頃から忍野八海の観光が注目されはじめ、昭和60年(1985年)に「全国名水百選」に選ばれたことにより、一層知名度が高まったため観光地化が進み、現在に至っています。

元八湖再興図(忍草元八湖霊場の版画)

東円寺に奉納されている元八湖再興図の版画です。
大我講は元八湖(現在の忍野八海)の一番霊場から八番霊場までひとつひとつの霊場で禊ぎを行い、手引石のある巡回ルートが描かれているといわれています。

元八湖再興別版

忍野元八湖霊場の版画 天保14年造 東円寺所蔵

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