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冬の皮膚のかゆみ

ページID:0001968 更新日:2023年11月27日更新 印刷ページ表示

山梨大学医学部附属病院 皮膚科 助教 富田 央澄

秋から冬にかけて好発する、皮膚の乾燥とかゆみについて説明いたします。
乾燥やかゆみの原因は、皮脂腺由来の皮脂(トリグリセリド)、角層細胞間脂質(セラミド・脂肪酸)、角質細胞中に存在する天然保湿因子などが加齢に伴って減少するためです。それによって、外気の乾燥とともに皮膚表面が乾燥しやすくなり、かゆみの閾値(いきち)を著名に低下させ、わずかな刺激でかゆみが出やすくなります。この状態を皮脂搔痒(そうよう)症といい、ひどく掻き壊すことで湿疹が生じた状態を皮脂欠乏性湿疹といいます。
かゆみが出やすい体質は、年齢を重ねるとともに悪化していきます。しかし、対策をとることで、かゆみが出にくい状態に落ち着かせることができます。
まずは、生活習慣の見直しが大切です。室内では加湿器を使うことで、乾燥を抑えることができます。また、温かくなるとかゆみが悪化するため、なるべくぬるま湯のお湯で入浴するとよいです。ボディータオルや垢すりで体をごしごし洗うと皮脂を少なくしてしまうので、低刺激の石鹸を用いて優しく洗いましょう。入眠時に温かくなるとかゆみが出やすくなるので、電気毛布などを避けることもお勧めいたします。
洗濯洗剤は、ものによってはかゆみが出ることもあるので、合成界面活性剤・蛍光増白材・香料・漂白剤の入っていないものを選ぶとよいでしょう。肌着は、ウールや合成繊維の素材は避け、綿・絹・レーヨンなどの天然素材を選ぶのがよいでしょう。
それでもかゆみが生じる場合は、塗り薬を用いた治療が必要になります。ワセリンや尿素含有製剤、ヘパリン類似物質含有製剤などの保湿剤を使って乾燥を抑えます。掻爬(そうは)により湿疹化している場合は、ステロイド外用薬が必要になります。抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服してかゆみを抑えることもあります。ステロイド内服薬やシクロスポリンなどの内服薬は、かゆみを強く抑えてくれますが、副作用もあるので注意して使う必要があります。
かゆいときに保湿剤を塗るのではなく、かゆくなくても毎日保湿剤を塗ることで乾燥を抑え、かゆみが出にくい状態を保つことが重要です。一度、皮脂欠乏性湿疹を発症した方は、次の秋から冬にかけての時期にもかゆみが出やすいため、かゆみを生じにくい環境作りや対処方法を理解して行動していく必要があります。上記を参考に生活していただけると幸いです。


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