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「かかりつけ医」を持ちましょう
山梨大学医学域事務部医事課長 望月 眞樹
当院(山梨大学医学部附属病院)は、山梨県内唯一の特定機能病院であり、その最も重要な役割は、「高度の医療の提供」、「高度の医療技術の開発・評価」、「高度の医療に関する研修」、「高度な医療安全管理体制」を担い、医療技術の進歩・人材の育成等により、広く県民の皆さんの健康に貢献することです。
当院における外来患者さんの1日平均人数は、平成20年度に1200人を超え、その後も年々増加し、昨年度は1340人に上ります。しかしながら、その中の1割以上の方は基本診療のみ、または基本診療及び処方のみのために来院されています。
現在、医療政策として「地域の医療機関連携による地域完結型の医療体制の確立」が打ち出されています。高齢の方も可能な限り住み慣れた地域で暮らしていけるよう、医療、介護及び福祉等のサービスを一体的に提供できる体制を構築することです。この体制を推進していくためには、ご自宅や職場の近くに、健康に関する事を気軽に相談でき、身近にいて頼りになる「かかりつけ医」をお持ちになることが重要です。
日頃からの健康状態を知っている「かかりつけ医」は、体調などに関してなんでも相談でき、早めの対策がとれるため、地域医療の枠を超えるような高度な医療等が必要な際には、当院などの専門医(医療機関)を紹介してくれます。専門医は、紹介状による診療情報提供等を基として診療を行い、患者さんの容態が安定した後に、再び「かかりつけ医」等の地域の医療機関に逆紹介をする、といった機能分化された医療の提供をより円滑に行うことが可能となります。
逆に、皆さんが「かかりつけ医」をお持ちにならず、軽症の方も重症の方も最初から当院への受診を希望された場合、今後も更に外来患者さんの数は増加していき、本来の特定機能病院の役割が十分に果たせなくなる可能性も生じてきます。
つきましては、医療機関の機能分化にご理解・ご協力をいただき、身近な医療機関を「かかりつけ医」としてお持ちになり、必要に応じてご相談のうえ紹介状を作成いただいたうえで、当院に来院いただけますよう、また、容態が安定した際は、再び地域の医療機関を受診していただきますようお願いいたします。