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おちんちんのお話
山梨大学医学部附属病院 泌尿器科講座 助教 中込 宙史
よくお母さま方から「おちんちんが腫れている」「おちんちんの皮がむけない」「すぐに手術が必要ですか」などお子様の「おちんちん」の相談を受けます。子どもと一緒に過ごすことの多いお母さまといえ、違う性別の性器のことなので良く分からないというのが正直なところだと思います。
今回はお子様の「おちんちん」特に「包茎(ほうけい)」のことについてお話ししたいと思います。「包茎」とは、陰茎先端の亀頭が包皮という皮の部分に覆われ露出していない状態を言います。男児が出生した時、亀頭は包皮で完全に覆われ、さらに亀頭表面と包皮の内側はぴったりとくっ付いています。ですから新生児ではほぼ100%、1歳までの乳児では約80%、1歳から5歳の幼児では約60%、小学生では約30%でみられ、思春期以降ではさらに少なくなります。以上のような自然経過を考えると少なくとも思春期までの包茎は病的なものでないので、基本的に治療は不要です。しかしながら、以下のような場合に限って治療を行うことがあります。
排尿の妨げとなる場合
おしっこをする時に、包皮におしっこが溜まってふくらんだり、おしっこが細くしか出なくなるとき。
亀頭包皮炎を繰り返す場合
おちんちんが赤く腫れ上がり膿が出たり、触らなくても痛かったり、おしっこの時に痛みを感じます。
嵌頓(かんとん)包茎を起こす場合
無理におちんちんの頭を出そうとし、狭い皮膚の部分でおちんちんが締め付けられた状態となります。この状態が続くと血行が悪くなり組織がダメになってしまいます。
尿路感染症を起こしやすい場合
わが国では少ないですが、新生児や乳児では尿路感染の原因になることがあります。
ではどのような治療法があるかと言いますと、軟膏を塗る治療法と手術療法です。包茎に対する治療は、以前では手術が一般的でしたが、最近では軟膏を塗って狭い皮膚の部分を伸ばす治療が広く行われるようになり良い成績を収めています。
軟膏塗布療法
両親または患児本人にステロイド軟膏を狭い部分に塗り、やさしく狭い部分を伸ばしてもらいます。皮膚が裂けないように注意します。
手術療法
包皮は将来大切な部分(最も鋭敏な感覚をもつ組織が含まれている)ですので、緊急時や軟膏塗布療法で全く効果のないお子様に限定して行われるようになっています。
以上ですが、心配な事や不明な事はお近くの泌尿器クリニックに行って相談すると分かりやすく説明してくれると思います。