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敗血症とは

ページID:0001997 更新日:2023年11月27日更新 印刷ページ表示

山梨大学医学部 救急集中治療医学講座 講師 森口 武史

敗血症は、世界で毎年800万人が亡くなっているにも拘(かか)わらずその実態があまり知られていない病気と言えます。ある調査では「敗血症」という病名を聞いたことがない人が5割、死亡率はほとんどの方が知らなかったという結果が出ています。
インターネットで「敗血症」を検索すると、古い情報や明らかに間違っている情報と正しい情報が混在しています。しかも、正しい情報は専門家向けで分かりにくく、間違っている情報の方が一般の方向けに書かれていて、頭に入りやすいように見受けられました。
敗血症とは、一言で言えば「感染により臓器の障害がおきている状態」です。臓器とは心臓、肺、肝臓、腎臓や脳などです。臓器が障害されると、例えば血圧が下がったり、呼吸状態が悪化して酸素投与や人工呼吸器が必要になったり、肝機能が悪化して黄疸(おうだん)が出る、腎機能が悪化して尿が出なくなり尿毒症の症状が出る、意識が悪くなり昏睡状態に陥(おちい)るなどの症状が出ます。
敗血症の原因は感染です。感染とは、細菌やウイルス、カビなどが体内で繁殖することです。この感染は誰にでも発症しますし、体のどの部位の感染も敗血症の原因になります。敗血症はよく間違われるように、「細菌が血液の中に入り全身に回った状態」ではありません。ある一部分のちょっとした感染の後に起きることもあります。
敗血症では、臓器の障害が起きているため、集中治療室(ICU)での治療が必要になる場合がほとんどです。感染に対する治療と臓器障害に対する治療を行います。必要であれば、人工呼吸器や血液浄化の機械を使用した高度医療を適用します。治療により救命された患者さんの多くは完全に治癒し、元通りの生活に戻ることができます。しかし、集中治療を必要とする他の患者さんと同様に、長期にわたる後遺症(不眠、関節痛、認知機能の低下、臓器機能の障害や四肢の喪失)が残る場合もあります。
敗血症の症状は悪寒(おかん)やふるえ、発熱、痛みや不快感、皮膚が冷たく湿った状態になり、意識が混乱したり見当が違うことを言う、息が切れ脈が早いなどが挙げられます。もし感染症だと感じ、これらの敗血症の症状が出たら、すぐに病院を受診する必要があります。特に敗血症になるリスクが高い65歳以上の方、1歳未満の新生児、悪性腫瘍や糖尿病、自己免疫疾患などがある場合には、すぐに医療機関に相談してください。敗血症は時間とともに進行するので、早期に対応することが何より重要です。


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