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    小児の排尿障害 ちびりとおねしょ

    ページID:0002007 更新日:2023年11月27日更新 印刷ページ表示

    山梨大学医学部小児科診療助教沢登恵美(2014年9月執筆)

    小児の排尿にかかわる問題はほとんどが夜尿と昼間遺尿です。
    赤ちゃんの時には、膀胱尿がたまると、脊髄反射で頻回に排尿をしています。が、徐々に脳が発達してくると、意識的に排尿をしたり、我慢をしたり出来るようになり、次第に無意識下の排尿抑制と抑制の解除による間欠的排尿(尿禁制)が完成します。3~4歳くらいで成人と同じ排尿調節は完成しますが、未熟性が残存しているところに多数の環境要因が重なって、正常な排尿調節機能が障害されることもあり、昼間遺尿や一部の夜尿の原因となったりします。
    過活動性膀胱はその原因の最も多いものですが、尿意切迫、頻尿や、失禁を避けるための特徴的な姿勢(つま先歩き、足の交差、尿の出口を圧迫する姿勢)をとることで気付かれます。便秘がその原因となることも多く、定期的に排便があっても便秘が存在する例も少なくありません。尿路感染を契機に昼間の尿失禁が出現する例もあります。5歳以上の尿失禁は病的とされ、一定以上認められる例では、必要な検査(尿検査腎機能検査、超音波検査、造影検査)を行い、他の疾患でないことを確認した後に、排尿習慣の確認と排便のコントロール、また定時排尿や抗コリン剤などで治療します。影響している環境要因があればそれを取り除き、うまく表現できない子供のトイレに行けない理由などを探ったり調整したりします。
    夜尿についても、5パーセント程度に基礎疾患(尿路奇形、尿路感染症、尿崩症、神経因性膀胱など)がありますが、残りの多くは特別な原因のない、機能性障害によるもので要因としては、前述の過活動性膀胱のほか、抗利尿ホルモン(尿の産生を減らす)の夜間分泌低下や夜間の膀胱に貯めておける量の低下が指摘されています。
    また尿意による覚醒は全ての例で困難であり、睡眠障害の存在も指摘されています。ここでも、便秘の治療は多くの夜尿症を改善させることがわかっています。現在は抗利尿ホルモン剤や抗コリン剤、また夜尿アラームなどによる治療介入により、自然治癒よりも2、3倍の治癒率が得られ、排尿障害の改善は、(自分を低い価値と思っている)児の自己肯定感を高めます。すっきりと爽快な覚醒感を親子ともに獲得できるようにしてあげたいですね。


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