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胃癌(いがん)の最新治療

ページID:0004843 更新日:2024年2月1日更新 印刷ページ表示

山梨大学医学部附属病院 第一外科 講師 河口 賀彦

 日本人は2人に1人が癌(がん)になると言われています。がんには様々な種類がありますが、胃癌は男性では10人に1人、女性は21人に1人がなると言われており、大腸癌、肺癌に次いでなりやすい癌です。

胃癌手術~開腹、腹腔鏡、ロボット~

 胃癌の治療というと手術を思い浮かべる方も多いと思います。胃癌の最も効果的な治療は癌を取り除くことです。胃癌は癌細胞が粘膜と言われる内側の層から発生し、だんだん根っこが生えるように深く入り込みます。さらに進むと、癌細胞が胃を飛び出して周りのリンパ節や肝臓、肺などに転移を起こすようになります。転移の可能性がほぼ0%である極めて浅い胃癌以外は手術の適応となります。手術では、癌のある部分と転移の可能性がある胃の周りのリンパ節を取り除きます。リンパ節は胃を栄養する血管に沿って数珠状に連なっているので、ある範囲をまとめて取りますが、しっかりリンパ節を取るためにこの血管も一緒に切除します。そのため、胃癌の手術は血管の分布上、出口側3分の2の胃を取り除く方法と胃の全部を取り除く方法の2種類しかありませんでした。しかし、今では胃を少しでも多く残すことで手術後の体重減少や貧血が抑えられるという報告が多くなされ、胃の入り口をわずかでも残す手術や、胃の入り口のみを切除する手術を行う施設が増加しています。
 このような手術を以前はお腹を縦に15~20センチくらい切る開腹手術で行っていました。しかし、手術後の痛みや心臓、肺などの全身への影響から傷が小さい腹腔鏡手術が普及しています。これはポートという5~12ミリの筒を5つくらいお腹に刺し、その中にカメラ(腹腔鏡)やマジックハンドのような手術器具を入れ、開腹手術と同じ様に胃やリンパ節を取り除き、その後、胃のつなぎ直しをします。その結果、からだへの負担が減り、手術から退院までの期間が短縮しています。さらに腹腔鏡手術で、お腹の中で自在に曲がるロボットの手を手術器具として用いるロボット支援手術を行うことにより、精緻な手術が可能となり、より安全に手術が実施されています。ロボット支援手術は、山梨県で当院以外にもいくつかの施設で導入されています。

胃癌の抗癌剤治療~ステージ4胃癌への挑戦~

 胃癌に対する抗癌剤治療も進化しています。長らく胃癌の抗癌剤は4種類くらいしかありませんでした。しかし、様々な新薬が開発され、以前は手術ができないと言われていたステージ4の胃癌に対しても、抗癌剤の効果で手術ができるようになる症例も増えています。これらの薬の使い分けや治療は専門施設で行われています。昨年から日本胃癌学会公認の認定施設という仕組みが始まり、全国で306施設が認定され、当院も認定されました。

最後に

 胃癌治療は最先端の手術や抗癌剤を駆使することにより、根治をめざすべく進化しています。


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