ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

病は我慢から

ページID:0004896 更新日:2024年2月1日更新 印刷ページ表示

山梨大学医学部附属病院 麻酔科ペインクリニック外科医長 猪野 博史

 「病は気から」と言いますが、10年以上慢性痛患者の診療を続けてきて、この言葉をまさに痛感しています。「病を引き起こす気」とは「精神的ストレス」、言い換えれば「抑圧された負の感情」だと感じています。具体例を挙げると、不安・悲しさ・怖さ・怒り・悔しさなどの負の感情を他者に見せずに我慢したり、上司の命令などに逆らえなかったり、幼少期から良い子として育ち我慢することに慣れてしまっていたり、虐待を受け続け自分がつらいということに気づけない状態などです。
 あなたの心にこのような状態が慢性的に続いたとすると、あなたは「つらい心の状態」に意識を向けることを無意識に避けようとします。そのために「無意識」が「意識」を騙す策略を始めます。「心」に意識を向けさせないために体の異常を起こさせ、「体」に意識を向けさせようとするのです。無意識の力で引き起こせる体の異常は主に3つあります。

  1. 筋肉を緊張させる(頭痛・肩こり・腰痛・膝痛・四肢しびれなど)
  2. 自律神経のバランスを乱す(不眠・多汗・口渇・食欲不振・胃痛・ドライアイ・耳鳴り・下痢・便秘など)
  3. 免疫系を乱す(喘息・花粉症・アトピー・じんましん・アレルギー体質など)

 これらの症状を自覚すると、あなたは何かの病気ではないかと「体」の心配をし始め、「心」へ意識を向ける時間が少なくなり、まんまと「無意識の策略」にはまってしまいます。病院で検査を受け、異常なしと言われれば、「それでも何か異常があるはずだ」と別の病院に行き、内科、耳鼻科、婦人科、整形外科、精神科と、ドクターショッピングに奔走する方も少なくありません。
 あなたや周りの方が原因のわからない症状でお悩みでしたら、一度、「抑圧された負の感情」を抱えていないかと疑ってみてください。心の問題に意識を向けることを忘れていませんか。無意識に心の問題から逃げようとしていませんか。本当はやりたいことを、お金、時間、世間体などを理由に、我慢していませんか。
 心当たりがあるなら、本当につらいのは「心」かも知れません。体がつらいと感じるときほど、ぜひ心のつらさに目を向けてみてください。「意識」としてあなたがそうすることで、「無意識の策略」は失敗に終わり、それだけで症状が和らぐこともあります。


忍野村トップページ

育児教室を開催

忍野児童館「来夢」のお知らせ