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「緩和ケア」ってなに?最近の緩和ケア事情

ページID:0005630 更新日:2024年2月1日更新 印刷ページ表示

山梨大学医学部附属病院麻酔科 診療助教 熊倉康友

 皆さまは緩和ケアとはどのようなものだと思いますか。「緩和ケアって、最後の最後にするようなものでしょ」「モルヒネとか使うって聞いたけど、変になる・命が短くなる」などと考えているかたもおられると思います。しかし、最近の緩和ケアはそれとは大きく変わってきています。
 平成26年、市民に向けた緩和ケアの説明文が、専門家や患者家族などから意見を募集して作られました。それによると、「緩和ケアとは、重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさを和らげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア」とされています。つまり緩和ケアというのは、病気になって困っていれば、いつでも誰でも家族にも行われるべきものであり、より良い人生を送るためのケアなのです。そのため、痛みや他のつらい症状で苦しむ必要はなく、必要な薬などを使ってつらさを和らげていきます。最新の研究では、病気と診断された時から緩和ケアを受け、つらい思いを我慢せずに治療を進めていくことが病気にも余命にもいい影響をもたらすことがわかってきています。
 緩和ケアにおいて、痛みを緩和することは非常に重要です。特に治療中のがん患者さんでは、5割以上のかたが痛みを感じており、その痛みは十分に緩和されていないと言われています。痛み止めとして有名なモルヒネなどの医療用麻薬は、非常に強力な武器になります。しかし、未だに誤解の多い薬でもあります。世間で噂される違法薬物とは全くの別物で、ちゃんと認可された痛み止めです。適切に用いれば、いわゆる中毒になることはまずありません。それどころか、胃潰瘍などの一般的な痛み止めの副作用が生じないため、実は体に優しい痛み止めです。我々専門家は、このような薬を痛みの原因に応じて使い分けており、病気の進行具合で薬を使うということはありません。痛みを抑えストレスを減らすことは、病気に立ち向かう体力維持にきわめて重要で、治療の継続にもつながります。もちろん、命の長さを短くするような作用はありません。
 最近では、緩和ケアはがん以外の病気に対しても広がってきています。ぜひ、皆さんもつらさを我慢せず、主治医や看護師さんに話をして、必要があれば我々緩和ケアの専門家にもお手伝いさせてください。病気があってもより良い人生が送れるように、みんなでサポートしていきます。


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