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「言語聴覚士」の仕事ってご存知ですか?
山梨大学医学部附属病院 リハビリテーション部 言語聴覚士 赤池 洋
「リハビリテーション」とは、病気やケガ、加齢などによる後遺症や障害を持つ方が社会復帰を目指すために行う支援のことを言います。そのリハビリテーションに携わる専門職として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士があります。今回、言語聴覚士の仕事についてご紹介させていただきます。
私たちはことばによってお互いの気持ちや考えを伝え合い、経験や知識を共有して生活をしています。ことばによるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故などが原因でこのような機能が損なわれることがあります。ことばによるコミュニケーションの問題には失語症や高次脳機能障害の他、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、吃音、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。それ以外にも飲み込みが難しくなる(摂食嚥下障害)こともあります。また、近年、加齢性難聴によるコミュニケーション障害が社会的孤立やうつ病を引き起こす要因になり、難聴が認知症の発症のリスクを高めることも明らかになってきています。人が幸せに生きていくために欠かせない「話す・聴く・食べる」ことへのリハビリに特化した専門職が言語聴覚士です。
言語聴覚士は医療施設だけでなく、介護・福祉・保健施設、教育機関など幅広い領域において活躍する場があります。山梨県には約120名(山梨県言語聴覚士会会員数)の言語聴覚士がいますが、まだ理学療法士や作業療法士に比べ人数が少なく、言語聴覚士がいない地域もあるため、十分な関わりが出来ていない状況にあります。しかし、山梨県言語聴覚士会では困られている方に対して真摯にサポートできる体制がありますので、コミュニケーション障害、摂食嚥下障害などでお困りの場合は気軽にご連絡下さい(連絡先は山梨県言語聴覚士会ホームページを参照)。
日本は2025年に超高齢化社会を迎えると想定されています。高齢者が増えると飲み込みの障害や加齢性難聴、認知症によるコミュニケーション障害を患う方が増える可能性が高くなると予想されます。人生の再スタートに関わる意義のある仕事だと思いますので、言語聴覚士の仕事に興味を持って頂けますと幸いです。