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ゼロから始める山梨の健康づくりPROJECT ZERO

ページID:0009291 更新日:2026年3月13日更新 印刷ページ表示

山梨大学医学部附属病院
腎臓内科学 助教 石井 俊史 

 慢性腎臓病(CKD)は、国内に約2,000万人(成人の5人に1人)いるといわれる新たな国民病です。CKDで問題となるのは、腎不全に至り透析を余儀なくされるだけでなく、腎機能の低下とともに心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まる点にあります。主な原因は糖尿病や高血圧ですが、近年は高血圧に基づく腎硬化症による透析導入数の増加が注目されています。高血圧の大きな要因の1つが食塩の過剰摂取です。令和6年国民健康・栄養調査によると、山梨県の食塩摂取量は、男性全国1位(11.7g)、女性全国5位(9.7g)と高水準にあり、私たちは知らぬ間に病気のリスクを抱えています。

 生命は約40億年前に海で誕生しました。陸への進出で課題となったのが、生命維持に不可欠な塩(ナトリウム)の確保です。陸では塩の供給が限られていたため、腎臓の構造を大きく変化させ、ホルモンネットワークを形成することで、少ない塩を体内に保持する仕組みを発達させました。ところが、わずか100年ほどで容易に塩を摂取できる「飽食」の環境へ変化したことで、高血圧などの生活習慣病が増加するようになりました。一方で、人類は英知を結集することで生活習慣病に抗う術を磨き、医学の進歩とともに様々な薬剤を開発してきました。しかし、過剰な塩分摂取が続けば、その効果は十分に発揮されにくくなります。こうした背景を踏まえると、生活習慣病の本質的解決には、社会そのものへの働きかけが必要ではないでしょうか。

 そこで私たちが立ち上げたのが「ゼロから始める山梨の健康づくりPROJECT ZERO」です。プロジェクト名の由来は「0次予防」で個人の健康増進努力に先立ち、環境や社会の仕組みを整えることで病気を予防する考えです。予防と教育を融合させた独自の取り組みで、小学生から大学生を対象とした授業・ワークショップや地域住民セミナー、「やまなし減塩プロジェクト」との連携活動、中央市との連携による市内小中学校における出前講義や教育プログラム「PROJECT ZERO for students」の提供など、境界をゼロに、世代を超えた地域の健康づくりに取り組んでいます。

 あなたも自分の隣にいる大切な人の未来のために、健康を「ゼロ」から見つめ直してみませんか。

 企画 一般社団法人 里仁会(Tel:055-273-5475)


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